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ひびのあれこれ
by happanappamama
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『シベリア追跡』
紀行エッセイを読むのが好きだ。

エッセイだけじゃなく、冒険の記録みたいなのにも心惹かれる。

友だちが旅行に行ったときの話を聞くのも好きだし、
写真を見るのも大好き。

自分とは違う視線を持った人たちが、
その人のフィルターを通して見た旅先のいろいろを
ふんふんと聞いたり読んだりするのが好き。

そこに歴史というか時間が絡んでくると、もうとにかく好き!ということ以上。
恍惚となってくるような、そんな感じだ。

自分で旅行するときも、
私の知っている歴史上の人物がそこにいたのだ!と実感できるところは
とにかくゴーっというような、ギューンというような
ちょっとうまく表現できないけれど時間の揺らぎがあるような気がしてしまう。

もちろん、音として聞こえるとか感じるとかではなく
なにか時間の手触りがあるというのか。

ひとりタイムマシンに乗っているような、そんな気分を味わうことが出来る。

昔イタリアにに行ったとき
ゲーテが昔よく出向いたという
ヴェネツィアのサン・マルコ広場に面したカフェでコーヒーを飲んだけど
そういう歴史上に名を残した、私でも知っているような人たちが生きていたその時代の
建物やなんかが、そっくりそのまま残っている・・・ということが外国にはたくさんあって、
歴史にゾクゾクする人としては羨ましい限りだ。

町並みじゃなくても、ずっと変わらない自然の風景があったりする。

悲しいことに、日本ではそういうところがどんどん無くなっちゃうんだなぁ。

地震があったり、そういう天変地異というのもひとつの要因だろうし
朽ちていくもので建物をこしらえるという文化的な要因もあるかもしれない。

でも、それにしても変化のスピードが並じゃないんじゃないだろうか?

happaと京都に行った時、偶然「油小路」を通りかかった。
「油小路」は伊東甲子太郎が新選組に暗殺されたところだ。

そこにはいろんなドラマがあったわけだけれど
現代の油小路はそんなドラマがあったとは想像だにできない、ただの大きな幹線道路だった。

行かなかったけど、池田屋事件の跡地だってちょっと前はパチンコ屋さんだったって聞いたし
今はそのパチンコ屋さんもなくなって、別の建物が建っているらしい。

新選組が壬生にいた時代に宿所にしていた八木邸はほぼそのまま保存されていたけれど
けっこうお高い入場料を取って中を見せたりしていた。

当時の刀傷とか鴨居に残っていたりして、
当時の様々を実感させるそれはゾクゾクする場所でしたが
なにしろ、高い。

そして隣には恒例のみやげ物屋。
新選組せんべい(なんてものがあったかどうか定かではないけど)みたいなものが
いろいろ置いてあって商魂たくましい。

大河ドラマの後にちょこっとやる、歴史の現場を訪問するみたいな番組を見ていても
当時の面影があるところはほとんどない。

仕方ないけど、なんだか残念だ。


このあいだ、私の本なんかを置いてもらってる倉庫(?)から
スキーやらなにやら出すついでに
以前読んだ本の中でもう一度読みたい本を何冊が持ってきた。

そのひとつが『シベリア追跡』

久しぶりに読んだけど、面白かった。

椎名誠が
江戸時代に難破してロシアに漂着した大黒屋光太夫が
長い年月をかけて日本に戻ってくるまでの足跡を追ったドキュメンタリー番組を撮影するために
まだソ連時代のシベリアを旅したときのルポだ。

厳しいシベリアの自然も、シベリアの原野に点在する町なみも、ヒトビトの暮らしも
ほとんど200年前のその当時と変わっていない。

そこで語られるシベリアの冬は何しろ凄い。

この本は私が札幌にいた頃読んだんだけど、
天気予報で「旭川はマイナス15度」とかなんとか聞いたりすると
ちょっとその寒さで生活できるのか??などと思っていたけれど
シベリアの冬はマイナス50度とか60度とかになってしまうらしい。

人間の吐く息が瞬時に凍って、
車の排気ガスも瞬時に凍って、
煙突から出る煮炊きする湯気も瞬時に凍って、
あれもこれも瞬時に凍るので町中が霧の中にぼんやりあるようなのだそうだ。

ちょっと皮膚の一部でも外に出しておくとあっという間に凍傷になって、
鼻とか指とかなくなってしまうという人が
いっぱいいるらしい。

大黒屋光太夫の話は井上靖も小説に書いていて
とても興味を惹かれる。

大黒屋光太夫はもちろん、
以前あおぞらちゃんに借りて座右の書としたいくらいの『デルスー・ウザーラ』が
同じシベリアを舞台にしているということもあり
シベリアそのものにもものすごく興味があるので

鎖国の時代に外国を見た人の思いとかそんなことを想像しながら
同じような自然と町並みを体験しつつ足跡をたどる旅というのは
かなり魅力的だ。

これはソ連時代の旅のルポなので、
アチラ側のトンチンカンな対応とか
資本主義国とはまったく違う国情がいろいろ語られていて
ものすごく面白い。

私もソ連時代、モスクワにトランジットで一泊したことがある。
ゴルビー政権のときで、ペレストロイカならびにグラスノスチで
外国人に対する規制も緩やかになっていた時代だったので
20ドルでクレムリンその他、ビザなしで観光することが出来た。

まあ、観光といってもバスでぐるっと回って、
クレムリン周辺を少し歩くことができるという程度だったけど。

そのときのことを思い出しても、
この本に書かれているソ連側の人々の対応だったり、生活だったりは
想像できる感じだった。

時間はあってなきが如し、だったし。
サービスっていう概念がない風だったし。



いいとか悪いとかではないけれど
そこに暮らす人々の生活が、光太夫の旅した頃と
基本的にあまりかわっていないというのは
なんだか凄い。

絶えず作ったり壊れたり、
次々と新しいものが誕生したり廃れたりしている小さな島国の人間には
なかなか実感するのが難しい。

こんな風に、
普段の日常とかけ離れた場所を旅した記録はオドロキの連続で
自分の周りの状況を前提にして考えたら
まったくびっくりするような、とても想像できないようなことが
いろいろあるんだなぁということを思った。

初めて読んだ本ではないんだけど、読み終わってしまうのが勿体なかった!

次も辺境冒険モノ、読みたい気分です。
by happanappamama | 2008-01-11 00:07 | ほん
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