ひびのあれこれ
by happanappamama
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『しろばんば』
去年の秋の深まる頃、
boubouさんお勧めの『北の海』(井上靖)を買った。

井上靖は好きだったし、
「あー、失敗だった」という小説は今まで読んだことがない。

そのころ「ものがたり」を欲していたこともあって
見つけたときに買っておいたのだ。

裏表紙の紹介文を読むと
『しろばんば』『夏草冬濤』と合わせて3部作のようなことが書いてある。

そうだったのか、『しろばんば』に続いている自伝的小説だったのだな。と気づいて
これは『しろばんば』から読まなきゃ!と考えた。

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『しろばんば』は子どもの頃一度読んだことがある。ような気がする。

小学校6年生のとき、
学校の展覧会に出品する読書紹介の絵と文を描かなきゃならなくて
それで、どういうイキサツでかは憶えていないけど
選んだのが『しろばんば』だったのだ。

多分、我が家の本棚にあったから・・・という程度の理由。

ちゃんと読んだかどうかも憶えていない。

物語のところどころはなんとなく覚えているけれど、
きっと紹介文に使えそうなシーンを端折って読んだのだろう。

ものがたりの充実した印象がまるでなかった。

読んだ本は厚いハードカバーではあったけれど
「日本文学名作シリーズ」のような本の一冊で、
現在文庫になっている『しろばんば』のページ数とか文字組みとかと比べてみると、
もしかしたら子ども向けにダイジェストされたものだったのかもしれないという気もする。

どこの出版社のものだったかは全然わからないけど
えんじ色のようなワインカラーのような、つやつやしたカバーのかかった本だった。

ほとんど印象に残っていないくらいだから、
あんまりおもしろいとも思わなかったんだろうな。

紹介文書いてるのに。

まあ、紹介文は展覧会出品用の義務だからね。

で、『北の海』に辿り着く前に『しろばんば』から読むのか~~、
とちょっと気持ちが萎えてしまったのだ。

秋の頃からさんざん逡巡して(・・・っていうほどでもないけど)後回しにした挙句
いままで外れていない井上靖の小説だし、
やっぱり『しろばんば』を読んでみよう。という気持ちになり、
文庫を買ったのがもう2ヶ月くらい前。

それでも他の本に気持ちが行っちゃって、
なかなか『しろばんば』の順番が回ってこなかったんだけれど、
ある日身の回りに、今読みたい本がなくなったのを潮に
やっと手を伸ばした。

そしたら、一気に読んじゃった。

おもしろかった。という言い方はふさわしくないようにも思うけど、
ものすごく良かった。
ひさしぶりに見つけたタカラモノのような本だ。
読んでよかった!

両親と離れて伊豆の田舎で育った少年の
小学校時代のことが淡々と語られるだけなのだけれど。

なにか特別なことが起こるわけでもなく、
時々田舎の集落をざわざわとさせる程度の事件しか起こらない。

でもとてつもなく美しいものがたりだ。

今自分がその只中を生きている小学校6年生には、
昔の小学生の田舎の生活と精神の成長物語がおもしろいはずがないかもしれない。

あるいは、おもしろい、と感じても
この年になった私が感じるのとはまた別のものだろうと思う。

とにかく6年生だった私に理解できるはずはなかった。

読んでいて、とても懐かしい気持ちにもなった。

舞台は大正時代の中ごろで、
そこに登場する人たちは、その生活も、行動も、近所付き合いの仕方も、
物言いも、他人に対する配慮も、現代とはものすごく違う。

でも、明らかに私たちの源流にあるものだ、という気がする。

自分の祖父母が子どもの頃の時代の話だ。
小さい頃私が眺めていたおばあちゃんの日々の暮らしの中に、
この小説から感じる匂いが確かにあった。

小さな男の子が自分の視野を広げていくさまも、
その少年を育てている血の繋がらない育ての祖母の生き様も、
胸のあたりをぎゅーっと押されるように切なくなる。

どこかで私の生と繋がっているような、そんな気持ちにさえなった。

今、続きの『夏草冬濤』を読んでいるところ。
上が終わって、下は本屋さんになかったのでまだ手元にない。

明日、捜し歩こう。

この分では『北の海』もあっという間に終わってしまいそうだ。

あ~、いいもの見つけちゃった!

きっかけを与えてくれたboubouさんに、すごーく感謝です!






コメント(2)


いいですよね、『しろばんば』。読んでいたら、また読み返したくなりました。
そうなんですよね、ぎゅ―っと切なくなるんですよね。
『北の海』を読むとこれまた・・・

こちらこそ感謝です。

2008/3/30(日) 午後 1:51 [ boubou ]



本当に本当によかったです。
きっと、このきっかけがなければ
この本を手に取るのはもしかしたらおばあちゃんになってから・・・
だったかもしれないと思うと、貴重なきっかけを頂いたんだなーと思います。
ちゃんとチャンスをモノにできてよかったです♪

今日、『夏草冬濤』の下を半分読みました。
『しろばんば』から続くこの物語り。何度も読み返す本になりそうです。

2008/3/30(日) 午後 11:03 [ はっぱなっぱ ]
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by happanappamama | 2008-03-30 00:15 | ほん | Comments(0)
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